本実証研究において浮体式サブステーションを用いて気象・海象・浮体動揺の計測技術を開発します。ドップラーライダーを浮体に搭載して、上空における風向風速を計測し、観測タワーの観測記録と比較検証を行います。これにより世界初の本格的な浮体式洋上観測システムを確立します。また、浮体動揺予測技術を開発し、水槽実験及び実観測データとの比較検証により、浮体式洋上風力発電システムの動解析モデルの高度化を行います。
本実証研究の第1期では、2MWダウンウィンド型風車搭載コンパクトセミサブ浮体において、浮体動揺の低減及び発電と安全性を両立した浮体式風力発電システムの開発を行います。第2期では、世界最大級の7MW油圧風車搭載V字型セミサブ浮体において最適設計とその実証を行います。これにより世界初の大規模浮体式洋上風力発電技術を確立します。
本実証実験では、耐動揺性・耐久性に優れた変電設備を開発し、振動試験、傾き試験を実施して性能評価を行います。また、耐疲労性に優れた遮水構造の大容量ライザーケーブルシステムを開発し、挙動解析を実施しケーブルの最適化を行います。これにより厳しい気象・海象条件の中、世界初の浮体式洋上送変電システム技術を確立します。
本実証実験では、事前調査、施工に関わる設計条件の設定を行い、漁場他環境に与える影響を最小化する施工技術を開発します。これにより、厳しい気象・海象条件下、浮体式洋上風力発電所の効率的な施工技術及び実施海域に合った複数浮体の係留システム技術を確立します。
本実証実験では、日本で開発された大入熱溶接用TMCP鋼及びUIT技術を世界初となる浮体式洋上風力鋼材に適用し、厳しい気象・海象条件の中、長期運用における溶接効率、腐食、疲労について検証します。これにより、浮体式洋上風力発電システムの工期短縮とコスト低減を実現します。
本実施海域近辺での船同士の衝突、船と風車・浮体の衝突のリスクや暴風時に係留系の切断により風車・浮体が漂流したり、漂流風車が船舶と衝突したりする漂流リスクが考えられます。本実証実験では航行シミュレーションの予測技術を開発し、衝突リスクの評価を行うことによりリスクの低減策を提示します。また、漂流リスク評価のためのシミュレーション法の開発及び実機の応答による検証・評価を行います。
本実証研究において、浮体式洋上風力発電所の風車周辺及び海底ケーブル設置地域の環境影響評価を行います。具体的には、騒音・景観・電波障害に加えて、海鳥・海産哺乳類・漁業生物等の生息の調査を行い、建設前後における環境影響を明らかにします。
本実証研究において、国、県、地元関係者、漁業関係者から構成される協議会を設立し、漁業関係の専門のコンサルタントのアドバイスを受け、周辺海域環境や漁業操業形態等への影響、浮体式風力発電所の設置に伴う新たな漁法等について検討を行います。これにより、海洋牧場、海域肥沃化と養殖いかだによる魚集効果及び海洋環境情報の提供の可能性を提案します。