丸紅株式会社(プロジェクトインテグレータ)、東京大学(テクニカルアドバイザー)、三菱商事株式会社、三菱重工業株式会社、ジャパンマリンユナイテッド株式会社、三井造船株式会社、新日鐵住金株式会社、株式会社日立製作所、古河電気工業株式会社、清水建設株式会社及び、みずほ情報総研株式会社からなるコンソーシアムは、経済産業省からの委託事業として浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業を推進しています。
実証研究事業は、昨年度から開始している第1期実証研究事業として、2MWのダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備1基と、世界初となる25MVA浮体式洋上サブステーション及び、海底ケーブルを設置します。第2期として、5MWおよび7MWの浮体式洋上風力発電設備2基を新設します。
本実証研究事業を行うことで浮体式洋上風力発電のビジネスモデルを確立し、大規模浮体式洋上風力ウィンドファームの事業展開を実現することに大きく寄与するものと考えています。更に、世界で初めての浮体式洋上ウィンドファームのノウハウを蓄積し、海外プロジェクトに展開することによって、日本の主要な輸出産業の一つに育成することにも繋がると考えています。
今回の実証研究事業の展開により、東日本大震災の被害からの復興に向けて、再生可能エネルギーを中心とした新たな産業の集積・雇用の創出を行い、福島が風車産業の一大集積地となることを目指しています。
欧州における着底式洋上風力発電は、20年以上前から実施され、商用ベースの大規模開発が行われています。一方、浮体式洋上風力発電は、数年前からノルウェーやポルトガルで実証研究が始まったばかりです。いずれの実証研究でも浮体式洋上風力発電設備1基のみを建設し、将来、大規模浮体式洋上ウィンドファームを実現するためには、浮体型式、送変電システム等の技術的な課題が残されています。
今回の福島県沖合の実証研究では、世界最大級の7MW風車搭載セミサブ浮体や世界初の25MVA浮体式洋上変電設備及び66kVの大容量ライザーケーブルの開発を行い、浮体式洋上風力発電の事業性の検証を行います。また世界初の浮体式洋上観測システムを構築し、浮体の動揺を考慮した気象・海象の観測手法を確立するとともに、浮体式洋上風力発電の性能評価を可能にします。さらに複数タイプの風車と浮体を用いることにより、各種浮体式洋上風力発電システムの特性及び制御効果を明らかにします。これらに加えて、腐食及び疲労に強い高性能鋼材の鋼材の開発や、厳しい環境条件での建設に向けての施工技術開発を行います。
本実証研究における様々な技術課題に挑戦するとともに、将来大規模な洋上風力発電を実現するために欠かせない漁業との共存、航行安全性と環境影響の評価手法も確立します。また、本実証研究の目的及び実証研究から得られた成果を広く社会や国民に対して分かりやすく説明し、国民との科学・技術対話等にも積極的に取り組む予定です。